君色MAGIC
□03
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『はぁっはぁっ……間に合ったぁ………』
てか、まだ普通に校門の近くで新入生談笑してんじゃん。
あたしの体力返せコノヤロー。
「あっ、来た来た千尋」
「よぅ。入学式当日から慌ただしいもんで」
木の影からよく見知った人物が2人出てきた。
ひとりは背の高い、綺麗な顔をした女の子。
先日、2人で美容室に行ってきて「同じ髪型にしてください」って頼んだ仲だ。
なのに、コイツだけ「akbの篠まりみた〜い」とか言われちゃって。
チビなめんなよ。
もう片方は、少し長めの髪に、入学式からピアスを開けてきたバカ男。
カッコ…良いのか?
何でコイツが女子にモテるのか訳わかんない。
前者から、
林葉棗(ハヤシバ ナツメ)
西崎類(ニシザキ ルイ)
小学校からのバスケ仲間で、いわゆる腐れ縁ってやつだ。
因みに2人は恋人同士だったりもする。
『おはよ。あ、棗。借りてた本ありがとう』
そう言って、『あなたの前世からのメッセージ!!夢占い』と書かれた本を鞄から取り出す。
「どう致しまして。どう?まだ変な夢見るの?」
『いや、最近はとくに。てか夢見る暇なんてないくらいぐっすり寝てるしね』
「ま、コイツに悩み事なんて皆無だよな。前世だってどうせ単細胞のミジンコだろ」
『黙れ類』
「類!!それは間違ってるわ。ミジンコは一応多細胞生物なのよ?」
棗のツッコミに黙り込む類。
へへん、ザマァみろ。
「もう、2人とももうちょっと勉強したほうが良いわね…」
あ、あたしもでしたか。
「…で、千尋?どんな夢見るんだっけ?」
『だから言ったじゃん。何にも覚えてないんだって』
「ほら見ろ。つまんねーの」
類の発言にイラッときた千尋は、懸命に記憶の糸を手繰りだした。
『なんかよく分かんないけど、夢見てる間はすごい幸せなんだよね…。でも、見終わった後いつも悲しい気分になる』
「ヘエ」
「類、千尋をあんま刺激しないの!!でも覚えてないのに、なんでいつも同じ夢って分かるの?」
『………へ?』
千尋は、情けない声を挙げた。
そういえばそうだ。
なんであたし、毎回同じ夢って分かるんだろ?
「ほらな。コイツは心配するだけ無駄だって」
黙り込んだ千尋に、類のバカにしたような声が降ってきた。
あの、死んで貰って良いですか?
いやいや、切実に。
そうこうしているうちに、クラス分けの表の前についた。
『天王千尋…天王千尋っと』
あたしは、群衆の後ろからピョンピョン飛び跳ねた。
あー見えない。
背が低いって本当に不便だ。
「おい。俺とお前同じクラス。1年1組」
『マジ?類、ありがとう。棗は?』
「アイツは特進クラスだよ」
『あ、そうだっけ』
棗、昔から頭良いからなぁ。
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