捧げ物・宝物
□ソメイヨシノに誓って
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銀八と付き合い始めたのは、今から1年程前。2年生になってすぐに、向こうから告白された。
『土方、急にごめんな。俺…っ、お前が好きだ!男だとか先生と生徒だとか関係ない。純粋に、"土方十四郎"が好きなんだ』
告白されたのは誰も居ない2人だけの教室で、窓から見えた校庭の桜が綺麗に咲いていた。
見事な、ソメイヨシノだった。
その日から真面目な話は、放課後に2人きりの教室で…というのが習慣になっていた。
だから今回呼びだされたのも真面目な話だろう。
俺は総悟に、部活に遅れると言って教室で奴を待った。
( ガラッ )
「おーごめん土方、待たせたな」
「いや…大丈夫だけど」
「部活もあるのに悪ィな」
銀八の顔は見た目こそ普段と変わらないが、何だかテンションが低いのに俺は気付いた。
これは――あまり良くない話のとき。
「で?話が有るんだろ?」
「あぁ…単刀直入に言うな。あのさ、土方はシルバー学園って知ってっか?」
「シルバー学園?それってめちゃくちゃ頭良いとこじゃねぇか。……でもたしか、」
「そう、国外。江戸どころか日本じゃねぇ」
それが何だ、とは聞けなかった。というか聞きたくなかった。この時期、教師という職業上、そして他の高校の名前と言うとどうしても避けられない話がある。
聞き返さずに黙っている俺を見て、銀八の方から沈黙を破った。
「俺な、そこに異動することになった」
…………。
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