CP無/OTHER
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泣いていいよ、背中合わせで。君が泣き止んだら忘れるから。強がらないで。傍にいさせて。
伸ばされる手を取っていたら、世界は何か変わったろうか。
認めるにはプライドと恐怖が邪魔で、否定するには勇気が足りなかった。
ごめんね、苦しませただけで。
でも、あいしていたんだ、ずっと。
***
愛とか恋とかだなんて、ただの戯れ言だと思っていた。
ただ一人きり愛した人はいなくなってしまった。突き放したまま、さよならも言えずに。
だからもう、傷付けないように。傷付かないように。
そう願っていた、のに。
「…あいしてるよ」
(きっと裏切りなんだろう)
***
醜いと、浅ましいと、どうか罵って嫌って欲しい。
手を伸ばすことはできなくて、けれど手を離すこともできなくて、そんな臆病で卑怯な自分を、どうか永久に忘れて欲しい。
彼が消えた翌日に届いた手紙には、ただそれだけが書いてあった。
―――嗚呼、ねぇ、君の泣きそうな表情だけが離れない。
***
「好きだよ」
「…どしたの突然」
「愛してる」
「酔ってる?」
困ったように笑う彼の唇に、初めて自分からそっと口付けた。
彼は驚いたように息を呑んで、ああと少し息を吐いて、そうしてさよならと泣いた。
どうかどうかわすれないでと、いまはただそれだけをねがっているよ。
***
「ねェ土方さん、首筋にキスすんのは執着の現れなんだそうですぜィ」
「…それが何だよ」
「いやぁ、土方コノヤローに執着する物好きもいるんだなぁと思いやして」
「!」
「どうしたんですかィ首なんか隠して。俺ァただ豆知識を教えてやっただけなんだけどなァ」
「ッ、てめ、総悟!」
***
銀時「おっ」
土方「よぉ」
銀時「偶然だな」
銀時「ああ。…なぁ、銀時?」
銀時「なに?」
銀時「今日、家行っていいか」
銀時「! 勿論!でもどしたの突然」
銀時「いや、その…最近冷たくしすぎたかと思って、て」
銀時「土方…!」
新八「…銀さん」
銀時「だって…だって…!」
***
一人きり抱え込むのはお前の悪い癖だよなと、世界を明るく染めてくれたあの人は笑っていた。
もっと俺達を頼ってくれと、世界を暖めてくれた人は苦笑していた。
――でも、嗚呼、どうして助けてなんて言えるだろう。
穢れた罪の重さを、きっと誰も知りはしないのだ。
【彼女を殺めた未来の話】
***
(ヘタレ×男前)
「なっ、なぁ土方、俺のこと、その、す、好き?」
「は?意味分かんねー」
「いいから!」
「まあ…好き」
「マジで!?」
「嘘」
「土方ぁ…」
「愛してる」
「! 俺も!俺も愛してる!」