CP無/OTHER
□140文字
3ページ/6ページ
(Ib)
どうして?
わたし、怖かったけどうんと頑張ったよ。
メアリーの絵も燃やしたんだよ、やめてって泣いたあの子を無視して、燃やしたよ。そうしたらギャリーを救えるかなって、目を覚ましてくれるかなって、なのに、
「…どうして?」
ねぇ、めをさまして。
***
なぁ土方、好きだよ。
そう言ったら今日もお前は、迷わずに俺もだよなんて言うのだろう。
俺と土方の好きは少し違って、けれどそれは大きな差で。
笑顔の同意は、何よりの拒絶。
何度となく繰り返した「好き」を、今日も紡ぐ。
何度となく繰り返された「俺も」に、少し泣きそうだった。
***
なぁ土方、好きだよ。
その言葉を一体何度聞いただろうか。
俺と坂田の好きは少し違って、悲しいくらいに隙間があった。
きっと俺の「好き」の意味を、あいつは知らないのだろう。
屈託のない好意は、何よりの凶器。
今日も彼の「好き」を聞く。
そっと邪な想いを込めて、俺もと答えた。
***
「告白しないアルか」
誰に、なんてすぐに分かった。
道の先には、見慣れた黒い背中。
「…しねェよ」
「どうしてヨ」
「勝率ゼロだから」
「……」
ぐっと押し黙った神楽の頭をかき混ぜるように撫でた。
「…大人になると色々あんだよ」
嗚呼それはもう、嫌になるほど。
***
きっとその絵に、恋をした。
高校生の頃一度だけ、近藤達と行った美術館にそれはあった。
タイトルの付いていない絵の中に眠る、同年代だろう銀髪の少年。
ただの絵のはずなのに、どうしてもずっと一緒にいた気がして、愛しくて。
ねぇ、夢の中、好きだよと言ったのは誰だった?
***
泣かないでと彼は言った。
泣かないで、前を向いて、走って、お前だけは生きて、と。
「好きだよ、好きだよ土方。ずっと好きだった。これからも大好きだよ」
泣きそうに幸せそうに震えた声は、それきり途切れて。
暗い床に広がる銀色に、そう、自分は泣いたのだ。
「…俺も好きだよ、××」
***
↑2つIbパロ
1…自分でもよく分からないまま絵を眺める土方さんの話
2…ふとしたきっかけで銀さんの存在を思い出した土方さんの話
ちなみに銀土は高校生
***
「土方ー!誕生日おめでとう!」
「…えっなにお前マジで来たの?」
「その嫌そうな顔やめてお願い」
「で、何の用だよ」
「ケーキをお届けに」
「…甘いモン苦手なんだけど」
「甘さ控えめだから!」
「……」
「……」
「…お前も食うなら、食う」
「喜んで!」
***
「はぴば!」
「色々とキモい」
「酷い!食事の誘いに来ただけなのに!」
「え、奢ってくれんの?」
「当然」
「じゃあファミレスでエビマヨ」
「安いなお前!まあその後ラブホ行くからいいんだけど」
「…さよなら先生、短い付き合いでした」
「冗談です捨てないで!」