銀時×土方

□夢に想う
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君の夢を見たんだ。

君が誰かに殺されて、僕の前からいなくなってしまう夢を。















『なぁ、俺のこと好きか』



珍しく君がそう尋ねてきたのは、もうすぐ冬になろうかという日の夕方だった。
当たり前じゃんと笑った僕に、ありがとうと君も柔らかく微笑っていた。
あの笑顔を今でも忘れない。






君がいなくなったのはその翌日だった。
冷たくなったその身体を、僕はただ呆然と眺めて見送ったんだ。


幾ら泣いても、叫んでも、君は甦らなかった。
仕方がなかったのだと君の上司は泣いた。
馬鹿ですよねィ、と君の部下は呟いた。
大勢の人が泣いていた。


涙をぼろぼろと零しながらみっともなく君の棺に縋っても、君は起き上がってくれなくて。
あの優しい、柔らかい、はにかんだような笑顔は見せてくれなくて。



リアルで、リアルで、リアルで、リアルで。
泣いて叫んで壊して壊れても、醒めない悪夢は終わらない。


ねえ、どうか、もう一度目を覚まして。
愛していると伝えさせて。
そうしたらもう、この手を離したりしないから。


そう何度願っても、君は僅かも動かなかった。何一つ変わらなかった。
どうせこんなの夢なんだから、ご都合主義で動いてくれてもいいのにね。
それなのにここは、苦しいくらいにリアルで。


(なぁ、なんで、)


君のいない夢の中、独りきりで僕はいるんだろう。
だって、君が消えてしまった絶望に、もう立ち上がることさえ出来ないんだよ。
君が僕の全てだった。

ここは辛くて、苦しくて、希望も未来も何一つ見えなくて。
空っぽになったこの世界は、ただただ寂しいんだ。









君も、ねぇ、

寂しいと思ってくれていますか。







―――逢いに行ったら、君は笑ってくれるかな。




















に想う
(こんな悪夢から逃げ出して、
君のいる現実へ行ってしまおうか。)



 

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