銀時×土方
□僕と君の夢のはなし
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ふと気付けば、辺りは暗闇に閉ざされていた。
焦りはしない。ただ、またこの夢かと少し落胆した。
広いのか狭いのかさえ分からない空間を漂うのは、血と腐った肉の臭い。敵だった物と仲間だった物が、地面を覆い隠していた。
銀時の背負う男が、一声だけ呻く。
―――ああ、そうだ。助けなければならない。そのために歩いているのだから。
「もう少しだ。あと少しで、助かる」
先は少しも見えないけれどそう思った。もう少し歩けば仲間がいる。助けてもらえる。
頑張れよと声をかけながら、今にも倒れこみそうな体を必死で動かした。
あと少し、あと少し。
心の中で歩数を数えながら、確かに前に進んで行く。
男がもう一度呻いた。
力なく下ろされていた腕が、ゆっくりと銀時の首に回される。
「坂田さん」
懐かしい声だった。傷つき今にも死にそうな者とは思えないほど明るく、楽しげな声。
「俺、助かりますよね。またみんなで笑い合って飯食って、侍として生きていけますよね」
「…当たり前だろ。その為に、今俺たちは戦ってんだ」
そう、そのはずだ。
自らの選んだ未来を手にするため、戦って、傷付いて、それでもまた立ち上がるのだから。
一歩、また一歩と暗闇を進む。
ちらりと視界に白が映った。
遠くにあったのは、目指すべき光。あそこまで行けば助かる確信があった。やっとだ、と歓喜に頬が緩む。
「なぁ、あの光見えるか。あそこに行けば、」
言いながら、男の顔を見ようと首だけで振り向いた。言葉はもう続かなかった。
何故なら、そこにいたのは、紛れもなく。
「―――…土、方?」
「忘れるなよ」
お前には誰も救えないんだと、土方は嗤った。