山崎×土方

□脆く堕つ
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(山土前提・スパイ話)



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「ど、して――…」

ひゅ、とかすれた息を吐く土方の後ろで、山崎はにこりと笑った。

「最初から、そうだったんです」

最初から、裏切っていた。
最初から、仲間ではなかった。
今はそれが少し、心苦しいけれど。

その苦しさを断ち切るように、土方の首に掛かる赤い紐に、力を込めた。

「…ねぇ、副長」

偽りの楽園は、自分には綺麗過ぎた。
食べてはならないといわれた知恵の実を齧ってしまったのは、きっと愛を知りたかったのだ。
―――例えそれが、どんなに残酷な真実を運んできたとしても。



「アンタのことが、本当に好きでした」



ほとり、伝った涙が零れた。








Fin
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