山崎×土方
□雪望み
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書類整理の日曜日。
愛しの副長様が、突然呟いた。
「雪、降らねェかなぁ」
「…は?」
あまりに突然の言葉に、山崎の思考は一瞬停止した。ついでに書類整理の手も止めた。
だって、この人確か雪が降るといっつも不機嫌になって、仕事の邪魔だとかぶつくさ言うくせに。
「どうしたんですか突然」
「別になんとなく。つーか働けや」
本気で怒られてボコられるまえに、山崎はまた手を動かし始めた。
けれど、何故に雪なんだろう。
元から感情の起伏が激しいくせに読み取りづらいという訳の分からない人なのに、こんな意味深なことを言われたら本格的に意味がわからない。
「…何かありました?」
「いや。ただ、」
そこでいきなり言葉を切った土方に、山崎は不審そうな目を向ける。
土方は数瞬迷うように視線を彷徨わせた後、
「……大雪でも降れば、書類整理だろ」
それは、二人でいたいと。
そう思ってもいいんだろうかと彼の方を見れば、ほんの少し耳が赤くて。
「……」
思わず浮かんできた笑みをそのままに、山崎は呟く。
「副長って、やっぱ可愛いですよね」
殴られた。
まぁ、とにかくそんな、ある冬の日。
***
ブログにアップした小話。