山崎×土方
□もしもの話をしましょうか。
2ページ/2ページ
どくどくと血が流れていく。
自分が死ぬのがなんとなく分かる。
「…ヘマしちゃったなー」
潜入がバレるなんて監察失格だ。
帰ったら土方さんに怒られるんだろうな。
何してんだって。それでも監察かって。
そうして泣きそうな顔をするんだ。
心配かけんなって怒りながら。
そしたら、そうしたら今度こそ聞こう。
俺がいなくなったらどうしますかって。
その後で告白するんだ。
好きです、結婚してくださいって。…アレ、結婚してくださいはおかしいか。付き合ってください?なんか違うんだよなぁ。
とにかく好きですって言おう。もしかしたら、俺もだよなんて奇跡が起きるかもしれない。
そうしたらもうこんなヘマはしない。最後まで土方さんの隣で笑って生きていこう。
ああ、
「帰りたかった、なぁ…」
はは、なんて軽く笑ったら酷く咳き込んだ。
血の混じったそれは、きっと俺の終わりを意味していて。
次第に遠ざかる意識。
ずきずきと痛むのはどこだっけ。
―――どうして、こうなったんだろう。
「…すきです」
最初で最後の告白。
この声が届いてくれる奇跡を願った。
もしもの話をしましょうか
(理想的な未来の話を)