BL短編
□休戦協定
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ここは学園のトップメンバー達が揃う、生徒会の仕事部屋。つまりは生徒会室。
しかしこの部屋にいるのは現在、副会長と書記の2人だけである。
その理由は勿論。他のメンバーは仕事が終わった、又は仕事関係で席を外しているから。などの理由で仕方なしに2人きりになってしまったというわけではない。
ここにはいない会長、会計、庶務達の机には、山のような書類の束が置かれた状態でいるのは、決して見間違いではない。
なのに何故、副会長と書記は、時は既に9時を回る生徒会室にいる羽目になっているのか。その理由は
「あいつら今日もサボりやがった」
「いい加減、僕らもカバーしきれませんよね」
「なんであいつらのせいで、オレらの大事な睡眠時間削られなきゃならんわけ?」
「まったくです。これじゃあ風紀にでかい顔されても何も言えないじゃないですか。僕らはちゃんと仕事してるのに」
彼らの会話から分かるように、2人を除く生徒会メンバーはサボリである。しかもそれは1日2日程度の話ではない。
「今日で丁度2週間です」
しかもサボリの理由が、
「いつまであんなヘンテコ転入生に入れ込んでやがるんだか」
「生徒会メンバーという意識無いですよね」
1人の男子生徒の信者になってしまった、という情けない理由である。
「そうそう。もう名前だけだもんな」
「生徒会の仕事をちゃんとしているからこその特典なのに」
「仕事はしないし授業にも出ない。生徒会専用室には無断で一般人を入れて騒ぎ出す」
「いっそ辞めてくれませんかね?」
「またはあの宇宙人?って言われてるらしー転入生も、いっそ誰かに惚れちまえばいいのによ」
「というか、あの宇宙人。見てて吐き気しません?」
「するする。あの汚いぼさぼさ頭」
「瓶底眼鏡に」
「小学生以下の知能」
「「あれに惚れるなんてありえない」」
2人してないわー。と心底軽蔑した表情をする。
「ありえないといえば、この書類の約半数があの宇宙人関連のものってこともですよねー」
「あー確かにー。備品の破壊に始まり、部活動の見学と称して邪魔しに行ったり」
「寮でも好き勝手してるみたいですね」
「もうさ、わざわざ宇宙人に引っ付かんでも、ここで書類に目を通してりゃ、大体の行動が把握できるよな」
「僕らにとっては嬉しくも何ともないですけどね」
「つか学校関連の書類と同数のが集まるって、どんだけー」
「宇宙人が普通の常識人であれば、大分仕事減りますよね」
「そうだなー」
「「……」」
「ちょっと待て」
「なんですか?」
「つーことは、宇宙人がも少し大人しくしてさえくれりゃあ……」
「僕らが毎日残業する羽目になることはないということですね」
「それって……」
「はい。副会長が思っている通りですよ」
「……そうか」
「「……」」
「なぁ、手を組まないか?」
「はい?」
「休戦協定の延長っつーことでさ」
「……僕もそろそろ声をかけようと思っていたところです」
「なら決まり、だな」
「ええ。思い切り後悔させてやりましょう」
「勿論だ」
「フッフッフ」
「クックック」
「「覚悟しやがれ腐れ外道♪」」
愚痴を言い合っているはずが、いつの間にか宇宙人こと転入生を潰す計画を、実に楽しそうに立て始めた2人。
「へっくしっ」
その事に、転入生とその信者達が身をもって知るのは、そう遠くない未来のことである。
end...