夢3

□白い空 
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『なっ、ななななななな!なっ、なんですかアナタ!誰ですかアナタ!』



「…坂本っちゅうもんじゃき…えっと、おぬしは?」


『いやいやいや!苗字なんて聞いてないです!何者ですかってことですっていうか警察呼んでいいですか?!』


「まぁまぁ、落ち着くき。何事も状況整理からじゃ。のっ?」


『…あはははは。いや、のっ?じゃなくて、住居侵入ですけど泥棒ですか、ストーカーですか、なんですか?』


「ワシは武士じゃきっ!」


『あ、じゃぁちょっとそのままそこに居て下さい。』


「……………」


『…あれ?え、なんで?数字が押せない…。え、どして?110が打てない…え、電話帳も出てこないし、え…。』


名無しさんはスマホを操作するも外部と繋がる操作が一切出来なくなっているのを知る。


『なんでさね。』


「…大丈夫か?」


『あ、お気遣いなく。すぐ人呼んできますんで。』


名無しさんは片手で龍馬をその場から動かないよう制する動作をしながら入ってきたドアへと向かう。


『ん?あれ。え。うそ。』


---ガチャガチャ


ドアが開かないことを知る。


『なんでさよ。』


「…えぇっと、戸、開かないんき?」


『…はぃ。どうしましょう…』


(お。素直になったがよ。)


「…して、ここはどこなんじゃき。」


『…………ここは、私の部屋です。』



「…ふむ。ワシは意図せずしてここへきてしまったがよ。寺田屋はここから近いかのう?」


『え?何屋ですか?』


「寺田屋じゃ。」


『いえ、何屋さんのお店ですか?』


「………?おぉ!宿屋じゃ、宿屋!知らんか?」


『…宿には詳しくないです。…その、宿屋と間違って入ってきたってことですか?武士マニアさん。』


「ん?武士まにあ?なんぞね、それは。それより寺田屋を知らんのじゃぁ、長居するわけにもいかんな。すまんかった!寺田屋で寝ていたはずなんがじゃ、何故かここで目が覚めたんじゃ。おぬしの部屋ならばすぐおいとまするぜよ!失礼したっ!」


龍馬は颯爽と名無しさんの横を通りすぎると名無しさんが入ってきたドアへと手を伸ばした。


---ガチャガチャ


「お?これは洋扉じゃろ?押しても引いても開かんぞい…」


(え。なに、この状況。どうしたらいいの?この人外に出ようとしてる?逃げる気?でもドア開かないよね?なんで開かないの?私はどうしたらいいの?…っていうか黙ってればイケメンなのに、袴着ちゃって犯罪まで犯しちゃって…ちょっと同情しちゃう…)


『なんちゅう顔してワシを見るんじゃ。全部顔に書いてあるぜよ。』


哀れむ顔で見る名無しさんをジト目で見返す龍馬。


二人の出会いはこんなでした。




-つづく-
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