夢はココ☆


□little rabbit
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+美咲+


ウサギさんの電話から
間も無く


「夏輝ー!!」


宇佐見父がやって来た

加えて、兄も

ウサギさんは
リビングに居て
二人は玄関止まりだけど


「はい、これ
 荷物だよ」

「……ありがと……」


夏輝さんが
表情を緩める


「済まないな……
 夏輝の傍に
 居てあげられなくて……」

「ううん……
 兄様が居るから……」

「折を見て会いに来る
 何かあったら呼ぶんだぞ」

「うん……」


二人とも
いつもより表情が緩い


「じゃぁ、高橋くん
 荷物と……この子をよろしく」

「……また来る」


二人は
やはり忙しいのか
そのまま去って行った

荷物なら
使用人に頼めば良いのに

……忙しいのに
わざわざ
この子に会いに来た?


「……」

「……?」


夏輝さんが
不安そうに俺を見る


「……荷物なら
 俺が運ぶから
 先に行ってて良いよ」

「……」

「……何?」

「……」


夏輝さんは
俯いて首を振ると
リビングへ戻って行った

……俺、怖がられてる?


「じゃぁ、夏輝
 少し、寝なさい
 帰ったばかりで
 疲れただろ」

「……ん……」


俺が荷物を運んでいる間に
ウサギさんは夏輝さんを
再び抱え上げて寝室へ運ぶ

こんな時間に寝かせるか?

まだ昼間だぞ?


「夕飯が出来たら起こすから
 おやすみ」


そう言って
寝室を出てくる


「……ねぇ、ウサギさん」

「ん?」

「……皆、なんか
 あの子に対して
 態度、違い過ぎない?」


父はともかく

兄が
あんなに優しく接するなんて

父も溺愛って感じだったし

……ウサギさんも


「……夏輝は
 特別だからな」

「……何、特別って」

「うちでは誰にとっても
 家族って感じなんじゃないか?」


ウサギさんが

家族って言葉を
使うなんて


「きっと美咲にも
 その内、分かるさ」

「……分かんねーよ!
 俺はあの子と
 家族じゃねーんだから!」

「美咲……」

「何だよ!
 皆、デレデレして!
 気持ち悪いんだよ!」

「……仕方無いんだ」

「はっ!?」


仕方無いって?

何が?


「……きっと、分かる」

「……何だよ……」


結局、何も言わないのかよ


「……とにかく
 美咲も夏輝には
 気を付けてやってくれ
 何かあったら
 すぐに俺に言うんだ」

「何かって……」

「じゃぁ、俺は書斎に居るから」

「あ、おいっ!」


ウサギさんは
本当に書斎に引っ込んでしまった

……何だよ……

何かあったらって……



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