夢はココ☆


□little rabbit
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+美咲+


モヤモヤしたまま
勉強なんて出来る訳も無いので
お菓子を作り始めた

……あの子に
何があると言うのだろう?

魅力?

それとも
もっと別の何か?

ウサギだけでなく
父や兄も
あの子を傍に置きたがる
理由って?

……何かあったらって?

その何かのために
目を離せない、とか?


「……兄様……?」

「……あ、夏輝さん?」

「!!」


夏輝さんが
驚いたように俺を見る


「今、ウサギさん
 仕事してるから……」

「……」

「……えっと……」

「……」


……やっぱり、俺
怯えられてない?


「……何か飲む?」

「……」

「……ウサギさん、呼んでこようか」

「……」


全部、首を振って
拒絶されてしまった


「……あのね、夏輝さん……」

「……夏輝……」

「……え?」

「……夏輝……」

「……夏輝?」

「……」


やっと、縦に首を振る


「……あのね、夏輝
 俺、別に、怖くないからね?」

「……でも、美咲……
 夏輝の事、嫌いだから……」

「……」


そう言って
悲しそうに俯く

……俺の態度のせいか……


「……ごめん
 ちょっと、意外だったから」

「意外……?」

「俺、夏輝の
 お父さんとかお兄さん達が
 あんな優しくするなんて
 思ってなくて」

「……皆、優しいよ……」


ふわりと、笑う


「……夏輝が……
 コワレモノだから……」


その言葉には
苦笑が混じっていた

……コワレモノ……?


「……コワレモノって……」

「夏輝?
 起きたのか?」

「兄様……」

「……ん?美咲?」

「……ウサギさん……
 仕事は?終わったの?」

「ちょっと、息抜き」


ウサギさんは
そう言うなり
夏輝を抱き上げた


「……兄様?」

「ん?」

「夏輝、もぅ子供じゃない……」

「そうか」

「……」


夏輝は
何も言わずに
困ったように笑った

良い子……なのは分かった

けど

コワレモノって?

ウサギさん達が
異常に気に掛ける理由と
関係があるのか?


「……あっ!」


夏輝が
こちらを見て
声を上げる


「ケーキ!」

「え?……あぁ……
 もぅすぐ完成だから」

「ケーキ、作る人?」

「これは趣味かな」

「……」


夏輝は顔を輝かせて
俺を見た


「……次は
 一緒に作ろうか」

「……うん!」


その表情が
あまりにも嬉しそうで

俺は、つい笑ってしまっていた



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