夢はココ☆


□little rabbit
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+美咲+


ウサギさんと
めでたく?両想いになって
平和な日常を送っていた
ある日

新たな嵐が起こりました。


「……あれ?
 お客さん?
 はーい?」


呼鈴が鳴って
モニターを点ける

ウサギさんは
我関せず

来訪者の予定は
無いのだろう

いつもの事だ

……いつもの事なんだけど……


(着物……?)


来訪者は
着物を身に纏った女の子

ウサギの関係者じゃない
訳がない

……のだが


「……どちら様ですか?」

『えっ?……あっ……
 ま、間違えました……!!』

「あっ、ちょっ!!」


恐らく
俺の声でウサギさんの家じゃないと
判断してしまったのだろう

俺は慌てて
玄関の扉を開けた


「待って!
 多分、合ってるから!!」

「……え……?」


女の子は警戒するように
振り向いて俺を見た

どことなく
薫子さんに雰囲気が似ている


「……あ……あの……
 宇佐見 秋彦は……」

「あぁ、やっぱり……
 ウサギさんなら、」

「美咲?誰?」

「あ……ウサギさん
 お客様、……」

「っ……!!」

「あっ!!」


女の子は
俺の横を通り抜け
ウサギさんに抱き付いた


≪離れろ!帰れ!!≫


いつものウサギさんなら
こんなだろうな、とか
思ってたんだけど


「……お前……
 いつ、日本に?」


ウサギさんは
穏やかな表情をして
女の子を抱き止めていた


「……今日……」

「そうか
 とりあえず、中に入ろう」


そう言って
ウサギさんは女の子を
抱え上げた


「……は?」


ウサギさんが
あんな表情を他人に向けるのなんて

見た事ない


「美咲
 コーヒーを淹れてくれ
 ……それから……
 ホットミルク
 甘いやつ」

「……」

「……」


リビングに戻った俺に
ウサギさんが言う

女の子は
やはり警戒するように
ウサギさんの影に隠れて
俺を見ている

俺は大人しく
コーヒーを二つと
ホットミルクを淹れた


「紹介しよう
 俺の恋人の美咲だ」

「ちょっ……ウサギさん!?」


恋人だって
紹介するなんて……


「……恋人……?」


女の子が首を傾げる


「あぁ」


ウサギさんは
相変わらず優しい微笑を
女の子に向けている


「美咲
 この子は、夏輝」

「夏輝……?」


夏?

ウサギさんが秋彦で

宇佐見兄が春彦で

宇佐見父が冬彦だから

……まさか……


「俺の妹だ」


やっぱり!!

でも

ウサギさんに
心を許してる家族が居るなんて

知らなかった

いつ日本にって事は
海外に居たんだろうけど


「……それで?
 他の人たちは
 お前が帰ったのを
 知ってるのか?」

「……兄様も……父様も……
 忙しくて……
 傍には居られないから……
 兄様の所に
 行きなさいって……」

「そうか……」

「で、でもっ!!
 ウサギさんにも
 仕事があるし!?」

「いや、ここに居ると良い」

「ウサギさん!?」


いつもなら
≪俺も忙しいんだ、帰れ≫
って言うのに


「……でも、部屋は!?」

「それなら問題無い
 俺の傍に居させる」

「傍にって……
 仕事中は?
 書斎には誰も入れないくせに」

「夏輝なら問題無いさ」


何それ

完全に特別扱いじゃん

……別に
妬いてる訳じゃないけど!

……でも……

何か、モヤモヤする……


「……兄様……?
 夏輝……迷惑……?」

「いや、大丈夫だ」

「本当……?」

「あぁ
 あの人には私から
 連絡しておこう」

「……は?」


ウサギさんが
自分から家族に連絡?

嘘でしょ?

……訳が分からない……



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