二次小説

□初めての船旅
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「フィリップくんも乗ってたの?」
「さんふらわあ」は夜航行するので、
亜樹子、翔太郎は別々にツインの部屋を取って乗り込んでいた。
甲板に現れたフィリップを見て亜樹子は驚いた。

フィリップはどうやらエクストリームでやってきたようだ。
考えると便利な乗り物だ。
エクストリームを使えばどこだって行けるんじゃないか。

「後は警察の仕事だな」
照井は上杉を確保し、照井の部屋で監視することにした。
智はそのまま上杉が使っていた部屋を使うことになった。
泪さんも別の部屋だ。

「フィリップくんは翔太郎の部屋で泊まるといいね。」
エクストリームで来たのなら、エクストリームで帰ることも考えられたが、
確かに翔太郎の部屋のベッドがひとつあいている。
亜樹子がフィリップのことを気遣ってそういった。

事件はすぐに解決したので、思いのほか船旅を楽しむことができそうだ。
明日の到着まで、船内に滞在できる。
亜樹子、泪さん、智、翔太郎、フィリップで食事を取ることになった。
照井はの姿はない。上杉の監視のためルームサービスを使うことにした。

フィリップ以外はワインを楽しんだ。
「ワインも船代に入ってるんだって。これは飲むっきゃないね!」
亜樹子は率先してワインを飲み、皆と和やかに談笑した。
食事を取った後、亜樹子は気を利かせて泪さんと智を二人きりにした。
「んじゃ、また明日〜。」
翔太郎とフィリップにそういって、若干千鳥足のまま部屋へ入った。

翔太郎はフィリップと同じ部屋へと向かった。
フィリップを先に促して、部屋へ入る。
ホテル並のそのツインの部屋はオートロックになっていた。

後ろからフィリップを抱き締める。
「翔太郎、尻尾が見えてるよ。」
翔太郎はチャンスと思ったのがフィリップにバレバレだったんだろう。
揶揄されて、ムッとする。
「エクストリームで帰ってもよかったんだけど?」
後ろを振り向いて翔太郎にそう言う。
「そ、それは困る。せっかくの船旅なんだから、楽しもうぜ。」
本音がつい洩れる。
だいたいフィリップとお泊まりで外出なんてこれまであまりなかったことだ。
しかも船上だ。
環境が変われば気持ちもおのずと盛り上がる。
「せっかく海へ来たんだ。いつもと違うことしよう。」
「どんなだよ。」
海とは言えもう外は真っ暗で、あまり船という気はしない。
エンジン音も聞こえないくらい静かで、ここが船ということも忘れてしまいそうだ。

ツインの部屋を見渡す。ベッドが二つと簡易な机と椅子。
TVも備え付けてある。バス、トイレはユニットになっているようだ。

「先にシャワーにするよ。」
抱きついてきた手を振りほどいて、フィリップはそっけなく言う。
不服そうな面持ちで翔太郎は手を離す。

翔太郎は仕方なくTVを付けて、フィリップが出てくるのを待った。
フィリップはゆっくりとバスタイムを取っているようだ。
さっきのワインが回ったのか、少し眠くなってきた。
「飲みすぎたか?そんなに飲んではいないが。」
ふと気づいて、あるものをとりだす。
それは簡易な鍵なら開けられる、金属の棒状のものだった。

ユニットバスはトイレと同じになっているので、鍵がついている。
しかし、万が一の場合、外から開けられるようになっていた。
鍵穴に金属のものを差し込む。
やすやすとドアを開けて中に入った。

髪を洗ったあと、立ったまますすいでいると、カチャリという音がした。
見ると、翔太郎が入ってきていた。

「翔太郎!」
「探偵七つ道具なんちゃって。」
金属のものを見せておどけてみせる。
「こんなところに使うものじゃないだろう。」
リラックスタイムを邪魔されてフィリップは不機嫌になる。
「なかなか出てこないから、つい、ね。」

翔太郎は服を脱いで、バスタブに入ってきた。
「こんなところ二人も入ったら、狭いよ。」
翔太郎はシャワーとフィリップの間に入り、背中からシャワーを浴びていた。
すぐに髪は濡れ、水も滴る状態になっていた。
「狭いからいいんじゃん。」
翔太郎はフィリップに身体を密着させてくる。
シャワーを流しながら、フィリップの身体をまさぐる。
「出てくるの遅いから、待ちきれなくなったじゃないか。」
そう言ってフィリップの濡れた髪がまとわりつく頬に口付ける。
濡れそぼったフィリップに色気を感じて、翔太郎はたまらなくなってきた。
「いつものもいいけど、下ろした髪もいいねえ。」
片目がすっかり隠れてしまっている。
「前髪こんなに長くなってるのな。」
邪魔な前髪をかきあげて、口付ける。
フィリップは、もうしょうがないとばかり翔太郎のなすがままにした。

「身体は洗ったのか?」
「まだ…。」
「じゃ、洗いっこしよ。」
驚いた顔をフィリップはしたに違いない。
こんな狭いところで、そんなこと。
銭湯で《お背中流しましょう》というのとはわけが違う。
翔太郎は押すと泡が出るタイプのボディソープを手にとり、
フィリップの身体を撫で回し始めた。
首、腕、胸…。
何度もボディーソープを取り、フィリップを泡だらけにした。
ボディソープをフィリップに渡し、翔太郎は言う。
「今度はそっち。」
フィリップはしぶしぶボディソープを手に取り、同じように翔太郎を泡でいっぱいにした。
「まだ、ココ残ってるぞ。」
翔太郎はいたずらっぽく笑って、下腹部を指す。
「ココも?」
「ココも!」
翔太郎の下腹部にフィリップの手が伸びる。
フィリップの手はそこをやわらかく泡で包んだ。

翔太郎はそのままバスタブの中に座り、その上にフィリップを迎え入れて座らせた。
「んっ。」
泡にまみれたそれがフィリップの中へと入っていく。
腰に手をそえ、フィリップの身体を上下させる。
数回繰り返した後、翔太郎はフィリップの中で果てた。

翔太郎はざっとシャワーを浴びて泡を落とすと、バスタオルで身体を拭き始めた。
「もう出るの?」
「汗流せればいいから。」
さっぱりした気分で、翔太郎はバスタブを出た。
「しょうがないなあ。」
フィリップはため息をついて湯船に泡を張り始めた。
泡はすぐにいっぱいになり、余韻にひたりながら、リラックスした。

フィリップはゆっくりと髪をドライヤーで整え、ガウンを着て出た。
目に入ったのは、バスタオルを首にかけたままベッドにうつ伏せになっている翔太郎だ。
気持ちよさそうに、すっかり寝入ってしまっている。
「バカだな。翔太郎。広いベッドでゆっくり出来るのに。」
フィリップはそうつぶやいて、冷蔵庫の中のミネラルウォーターを口にした。

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