二次小説

□初めての船旅・翌朝
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朝日が小窓から差し込む。
オーシャンビューの部屋に明るい日差しが満ち溢れていた。

翔太郎はどうなんだろう。
ある日突然、「悪魔と相乗りする勇気、あるかな」と
悪の組織の中枢にいた僕に言われて、その片棒を担ぐようなことになって。
「運命の子」を救い出すという依頼受けた鳴海荘吉の手伝いをしていたようだけど、
その僕がガイアメモリ製作に関わっていたのを真の当たりにしたはずだ。
僕に喰ってかかったっけ。
「拳銃を作る工場の人間は犯罪者か?」
言葉に窮したようだけど。
僕は罪の意識もなく、ガイアメモリの研究に没頭していた。
自分の名前を忘れても、家族の記憶をなくしても。
「恐怖」という名の男に言われて、やめる、という決断をせずに、
ずっと生きていた。

鳴海荘吉に、僕のその決断をしないで生きてきたことを「罪」と教えられた。
そして「罪」を数えるために、組織に反逆して、僕の手で世に送られてきたのであろう、
ガイアメモリを撲滅するべく、Wになって戦った。

でも、翔太郎はそこまでする必要があったんだろうか。
鳴海荘吉の命令を守らず勝手な行動を取るという決断をしたことを「罪」と思い、
翔太郎もその「罪」を数えるために、Wになって戦うようになった。
僕の「罪」とは質も量も明らかに違う。
風都という街を愛して「街を泣かせるもの」に対しては強く戦うことが出来る。
それが翔太郎の、Wになって戦う理由でもあるのだろうけれど。

そんなことを考えながら、僕はベッドに座ってじっと翔太郎を眺めていた。
突然、がばっと翔太郎が起き上がった。
「やべー、俺寝ちまったのか!?」
軽くシーツをかけてはいたが、シーツの下は全裸のままだった。
「僕がお風呂から上がったときにはもう寝てたよ。」
にっこりと笑って僕はそう言った。
「しまったー。せっかくのチャンスを!」
ベッドの上に座って、本当に悔しそうにしている。
「今何時だ?」
ベッド脇のデジタル時計は6時になっていた。
「6時。昨日皆と朝食は7時にレストランでって約束してたよ。覚えてる?」
「いや…。そうか1時間か。」
言うやいなや僕に抱きついてきた。
「充分あるな。」
ニヤリと笑い、軽く羽織っていた僕のガウンを剥いでベッドに押し倒した。
「ちょ、ちょっと。翔太郎。」
僕の制止なんて無視して、体のあちこちに口付ける。
「せっかくこんな広々したベッドで何もしないなんて勿体無い。」
その勿体無いことをしないで寝たのはどこのどなたでしたっけ。
とがめるようになった僕の口に翔太郎の口が覆いかぶさる。
ついばむように唇を確かめ、深く口付けた。

「エクストリームで帰らなかったってことは、こういうことも想定してのことだよな。」
翔太郎が答えられない質問をしてくる。
「それを僕に言わせたいの?」
「言ってくれるのか?」
ニヤニヤと本当に人の悪そうな顔をして翔太郎はそう言った。
「言うわけないでしょう。」
身体を翔太郎に預けた時点で、もう答えているようなものだった。
僕は翔太郎に身をまかせて、好きにさせていた。
翔太郎の熱くなったものを内腿に感じる。
僕の身体も翔太郎に口付けられ、熱を帯びてきた。
翔太郎は僕の両足を抱え上げ、自らのモノを僕に押し当ててきた。
ゆっくりと、だが強く、入ってくる。

ああ、そうだ。
今はもう翔太郎と僕は心も身体もひとつになっているんだった。
僕が一緒に居て欲しいと思う限り、翔太郎は僕とは離れない。
僕とひとつになり続けてくれる。
それが翔太郎の思いであることを僕も信じている。

僕の中で翔太郎が弾けた。

僕はいつもの服を着て、部屋を出る準備を整えた。
「もう7時前だよ。早く、早く。」
せかす僕を尻目に翔太郎はシャワーを浴びている。
ドライヤーで髪を乾かし、いつもの翔太郎のスタイルに戻っていた。
「さ、朝食を食べに行くか。」
何事もなかったかのように、皆の待つレストランへと向かった。

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