二次小説

□左翔太郎の妄想日記「もしもフィリップがアメフト部員だったら」
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高校生ってことは部活もやってるだろうな。
フィリップらしい部活っていえば文系か。
科学部とか、生物部、いや、まんまパソコン部とか。
当たり前すぎて面白くないな。
運動系だとどうなんだろう。
野球部は、ないな。
サッカー部、ラグビー部…。
そういえば「フィールドの格闘技」といわれているが、
その実、緻密な計算が必要だといわれているアメフト部………。

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「園咲?」
夕闇せまる部室に書類を届けに来た左教諭に、その姿がないことをいぶかしがる。
グラウンドの方で、バシーンともドスーンともいう打撃音が聞こえる。
外に出ると、そこには一人黙々と体当たりの練習をしていた園咲がいた。
声を差し挟む余地もないくらい集中して取り組んでいる。
ヘルメットごしに汗が流れるのが見える。
左教諭はしばらくそのまま見続けていた。
何度かぶつかったあと、ふと動作が止まる。
左教諭に気付いたようだ。

「左先生。」
笑顔で左教諭の方を向く。
夕陽が頬に当たり、眩しいくらいに輝いている。
「部室に行ったらいなかったんでな。部員達はもう帰ったんだろう?」
「うん。今日でこのユニフォームでお別れかと思うと名残惜しくなってしまって。ここまでフル装備する必要はなかったんだけど。」
確かに試合に出るようないでたちだ。練習くらいならジャージでも構わないだろうに。
「そうか、今日の試合で3年は引退だったな。」
「負けちゃったからね。今日でもう終わり。」
少し残念そうにそうつぶやく。
「で、何か用?」
「ああ、来年の試合の大まかなスケジュールだ。部長のお前に目を通してもらおうと思ってな。」
「ありがとう。これで部長としての仕事も終わりかな。」
自分が出ないであろう試合にざっと目を通す。

「部室で詳しく聞くよ。」
ヘルメットを外すその仕草にまで、色気を感じてしまう。
それを肩にかついで部室の方へ向かおうとする。
「もういいのか。」
「暗くなってきたしね。充分お別れはしたよ。」
寂しげな表情は憂いすら帯びていた。

部室は壁にロッカーが並び、用具入れがある4畳半ほどの広さだった。
部員が入ればいっぱいになったであろう部屋も今はがらんとしている。
壁には「目標!全国進出!!」と殴り書きした紙が貼られていた。
先に園咲が入り、左教諭が後に続く。
園咲の腰に左教諭の手が後ろから回される。
「左先生?」
「タックル、なんてね。」
左教諭はいたずらっぽく笑う。
「その後姿がいけない。こらえろっていう方が無理だろう。」
園咲はやれやれという表情をしたに違いない。
「しかしなんだな。アメフトはプロテクターがごちゃごちゃしてて面倒だな。」
確かにサッカーやラグビーに比べるとパッドがあちこちに入ってて手触りが悪い。
すこし笑って、
「着替えるよ。」
と園咲はさらりと言った。
「別に。プロテクターを外してくれればそれでいいんだが。」
左教諭はさもその邪魔なものを取ってくれといわんばかりに言う。
園咲はそういうことかと思う。
パッドの入ったそのユニフォームを脱いだ。
細くはあるが、引き締まった筋肉が見て取れる。
そしてその肌はとてつもなく白くきめ細やかだった。
左教諭は園咲をふわりと抱きしめ、唇にやさしく口付けた。
園咲も答える。
ついばむように、口付けを繰り返し、そして舌を絡ませて深く口付けた。

「今日の左先生、いつもより、丁寧…?」
「いつも雑だとでも?」
自覚はあるんだなと園咲は思う。
左教諭が園咲を求めるときはいつも急いていた。
もちろんその激しさが左教諭らしいのだが。
「ここでこうするのも最後かと思ってね。」
そうだ。と園咲は思った。
部活を引退するということはこの部室ともお別れということだ。
ここで何度身体を確かめ合ったことだろう。
目に入るもの全てがふいに愛しく思えてきた。

マッサージをするためにしつらえた簡易ベッド。
園咲はここで初めて左教諭のものになった時を思い出していた。
半ば無理矢理ではあったけれど、左教諭に身を任せると不思議と満たされた気持ちになっていた。

左教諭は丹念に身体を撫で回し、口付けを繰り返していた。
その動作がだんだんと下へ降りていく。
園咲のものを口に含んだ。
「あ、ああ」
気持ちよさが園咲の身体を駆け巡る。
左教諭は丹念に舌を這わせていた。
園咲は自身が熱く、脈打っているのを感じていた。
そんな園咲をじらすように左教諭は口を離す。
そのまま秘部へと舌を滑らせる。
舌先でこじあけるように中に入っていた。

園咲を充分に湿らせると、左教諭は自分のものをゆっくりとあてがっていった。
ゆっくりと、やさしく中に入っていく。
園咲の身体はもう左教諭と一体となっているようだ。
入っていくのが自然に感じられる。
中で蠢くものが身体の芯まで到達しているように感じる。

園咲は左教諭の唇を求めた。
左教諭は園咲と本当に一つになっているのを強く感じた。



園咲は制服に着替え、帰り支度を整えた。
紅潮した頬がまだ余韻を残しているようだ。
「左先生。部活を引退しても、先生とはまだ続くよね。」
不安な気持ちを押し殺すように園咲は尋ねる。
不思議そうな目をして左教諭が答える。
「何故、そんなことを?」
「部活が終わるってことは卒業も近いんだよ。もう半年もすれば僕はこの学校を出る。」
園咲は、左教諭と自分との関係は、先生と生徒である間だけだ、と漠然と思っているのだ。
左教諭は、何を急にと思ったが、園咲の真摯な目を見て、この場しのぎのような事を言えない雰囲気を察していた。
ただ、明確な答えを園咲に与えることは、出来なかった。
「考えられないな、お前がいなくなるのは。」
少し考えて左教諭は言う。
「今言える事は、俺にはお前がなにより必要だということだ。」
その言葉を聞いて園咲は少し表情が明るくなった。
そうだ、先のことを考えすぎて不安になっていたのかもしれない。
左教諭は僕の事を本当に想ってくれている。そして僕も。

すっかり日の暮れた校庭をゆっくりと二人は歩んでいった。

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