二次小説

□心なきもの、心あるもの2
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フィリップはベッドの上で目を覚ました。
部屋の中には、大道克己とNEVERの部下の男が一人いた。
「よう、兄弟。お目覚めかい。」
大道克己はベッドの脇に置いた椅子に座り、覗き込むようにしてフィリップを見下ろしていた。
「ここは…?」
「見てのとおりホテルの中よ。見覚えない?」
もう一人の男が反対側にあるベッドに腰掛けてそう答えた。
上品な調度品、豪華な内装。フィリップには見覚えがあった。
ここは、マリアさんを訪ねたホテル…。
「気がついたようね。そうよ。私たちも一緒に泊まっていたって訳よ。」
マリアさんとNEVERは仲間…。
その現実だけでも耐えがたかったのに、あの時、マリアさんを訪ねたそのそばにNEVERも居たのか。
フィリップは自分の甘えた考えに、うちひしがれるような思いがした。

「ねえねえねえ。克己ちゃん、この子よく見たらすっごくかわいくない?いただいちゃいたいわ。」
「好きにしろ、京水。今は薬が効いて、身体の自由がきかなくなってるはずだからな。」
フィリップはそう言われて、手も足も動かないのに気がついた。
かろうじて頭は動かすことが出来、口もきけるようだ。
しかし手足の感覚は麻痺したようになっている。
「それにしてもキテレツなお洋服ね。誰の趣味かしら。」
フィリップはそう言われて少しムッとした表情をしたのだろう。
「お前にはもっとイイ服を着させてやろう。」
その前に、と克己はいつも持ち歩いているジャックナイフを取り出し、
フィリップの着ていた服を喉元から下まで切り裂いた。
白い肌が下腹部まであらわになる。
「ま、克己ちゃんたら。相変わらず容赦ないんだから。」
さっと両手を目の前でおおい、しかし指のすきまから覗くしぐさをして京水が言った。
恥ずかしさのあまり左に顔を背けるフィリップ。
京水はその顎をとり、鋭い目つきで言った。
「無理じいはしないわ。あなたを充分に愛してあげる。」
それを聞いて克己は怪訝な顔をしながら言った。
「へえ、京水は愛されたいんじゃないのか?」
「あら、克己ちゃん。愛されたいからこそ、愛することを知ってるのよ。
心配しないで。美味しいところは克己ちゃんに持っていってもらうわ。」
フィリップはこれから何が始まるのか不安におののいていた。

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