二次小説

□心なきもの心あるもの5
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次に気が付いた時はは、NEVERの服に着替えさせられて、エクスビッカーの制御装置に繋がれていた。
意識がだんだんとはっきりしていく。
全身に繋がれたチューブ状のものが、図らずも、立っているのもやっとの重い下半身を支えていた。

「大道…克己………!」
己の欲望のためだけに僕を。そのうえ京水にもいいようにされてしまった。
フィリップは弄ばれて感じてしまった自分への憤りと、翔太郎への申し訳なさに顔を合わせるのが不安になってしまった。
エクスビッカーは僕を使って最大限に力を発揮するらしい。
これにまで自分を取り込まれてはたまらない。

エクスビッカーに繋がれていると、スクリーンに全身黒の仮面ライダーが映った。
「しょう…たろ?」
翔太郎がここに来てくれる。それだけで無性に嬉しくなった。
翔太郎は僕を見捨てはしない。たとえどんなことになっても。
それだけは確信出来た。スクリーンに映る黒い仮面ライダーを待ち構えていた。

ドアを盛大にぶちこわし、仮面ライダー「ジョーカー」がフィリップの元へかけつけた。
「お前。フィリップに一体何をした!!!」
その言葉を聞いただけで、フィリップはえもいわれぬ熱いものを胸に感じていた。
エターナルとなった克己とジョーカーが激しく戦いだす。

「むこうから最後の切り札を持って来てくれるとはな。」
エターナルとジョーカーが激しく戦う。
ジョーカーはエターナルに圧倒されて、T2ガイアメモリを手放してしまう。
変身が解けて、姿を現した翔太郎にフィリップは声にならない声をあげていた。
「翔太郎!翔太郎!翔太郎!!」

「これで全てが揃った。地獄を楽しみな。」
離れて戦っていた京水たちのT2ガイアメモリも集まってくる。
メモリのサウンドが26本鳴り響き、エクスビッカーに全ておさまっていく。
フィリップは電撃に叫び声をあげ、身体をかけめぐるメモリの力に飲み込まれそうになっていた。
「う、う、うあああああああ!!!」
悲痛なフィリップの叫びがこだまする。
「そうだ、それでいい、風都の皆生きとし生けるものすべてが、俺たちのように死人へと変わる瞬間だ。」
克己は恍惚の表情を浮かべ、エクスビッカーとフィリップを見ていた。

物陰から見ていたマリアが飛び出し、細胞破壊プログラムの入った液体を克己に注入した。
「何を…」
「間違っていたわ私、あなたには何でも与えていた。でもその間違いを気付かせてくれたのはあの子よ。
あなたを止められるのは私しかいない。もうやめて克己。」
「何だとおおお」
克己は容赦なくマリアを撃ち抜いた。
「マリアさん!!」
フィリップは己の力すべてをエクスビッカーに集中した。
エクスビッカーの制御装置にされているフィリップ。
中からエクスビッカーのプログラムを書き換えていった。
T2ガイアメモリがエクスビッカーの制御装置から離れていく。
克己はエターナルとユニコーンのメモリだけ持って最上階へと向かった。
「まだだ、まだやれる。エクスビッカーに直接俺の意思を…。」

マリアは虫の息になっていた。
「フィリップ、ありがとう。あなたの母親になりすましているうちに、あなたのことを本当の我が子のように思えてきたわ。
純粋に克己を思っていたあの頃を思い出させてくれたのよ。」
「マリアさん!マリアさん!!」
フィリップの悲痛な叫び声がこだましていた。

そして、フィリップは「僕は人間で、探偵で、仮面ライダーだ!」と強く言い放った。
翔太郎が、「そこは僕たちは、だろ」と、言う。いつもとは反対だ。
戦いたい、この手で克己と戦いたい。しかし、戦うのは翔太郎だ。
フィリップは倒れる寸前、翔太郎の肩に手を置いて、翔太郎に全てを託した。
翔太郎もその手を見て、いつもよりさらにフィリップの深い思いを受け入れた。

そしてエターナルを、大道克己を、風都の人たちの熱い思いを受けて、本当の死へと導いた。

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