二次小説

□海水浴
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早朝。
人気のない海岸に翔太郎とフィリップはいた。
翔太郎は珍しくわずかだがふてくされていた。
というのも。
「なんっで、そんな水着なんだ。」
フィリップの水着は、見事に最近見かけだした、
まるでウェットスーツのような、長袖で首まで覆っているタイプだった。
下は半ズボンだが、ぴったりと身体に沿っている。
翔太郎はトランクスタイプのごく普通の水着だ。
「だって。紫外線は肌によくないんだよ。」
おおかた、海水浴の全てを閲覧してきたんだろう。
昔は普通にしていた日光浴が、今は紫外線の量が違うとかで、身体に悪いとでも検索したに違いない。
せっかく肌を触れ合ってたわむれようと思っていた翔太郎の思惑は、
見事なまでに裏切られていた。
まあいい。どうせ暑くてすぐに脱ぐって言い出すだろう。
さもなけりゃ…。

寄せては来る波にフィリップははしゃいでいた。
「面白いね。一体どこからこの動きはやってくるんだろう。」
検索したものの、本当の波に触るのは初めてだ。
足をつけてはひっこめて、その足にまとわりつくような波に興味津々だった。
「もっと沖までいこうや。」
水着のことは少々あきらめて、強引に沖の方へとひっぱっていく。
「足がつかなくなるよ。僕、泳げないんじゃないかな。たぶん。」
浮き輪でも持ってくればよかったかと翔太郎は思った。
いや、それはいくらなんでもお子様すぎる。
「俺がついてるって。」
足が付くか付かない所にフィリップを連れていった。
大きい波がくる度に、身体が翻弄されていた。
「あ、足が離れちゃう。」
不安に感じたフィリップは、翔太郎の腕をつかむ。
何度目かの波はとても大きく、フィリップの身体を軽々と持ち上げていた。
「恐いよ、翔太郎。」
腕だけでなく、身体にしっかりとしがみつく。
翔太郎は心の中ではニヤけたが、そんな風なそぶりは見せず。
「俺が付いてるから大丈夫だ。」
しがみついてきたフィリップをやさしく抱きしめる。
しかし。感触は布どころか、ゴムのようなものだった。
なんだかなあ。ちょっとなあ。
それでもフィリップを大事そうに包み込み、初めての海を満喫させてあげていた。

「ふう。」
砂浜へ戻ると、フィリップはとても疲れた様子だった。
海の中は予想以上に体力を消耗する。
泳ぐことはやっぱりできず、波間をただたゆたっていただけだったのだが。
レジャーシートを敷いていた場所へ戻る。
ここはプライベートビーチで、海水浴場におなじみのパラソルはない。
直射日光が容赦なく降り注ぐ。
クーラーボックスの中のよく冷えたペットボトルの水をフィリップに渡す。
おいしそうにをそれを飲んでいた。
「泳げたらもっと楽しいんだろうね。」
「またこんどな。」

それより、と、不意に翔太郎はフィリップに顔を近づける。
怪訝そうな顔のフィリップにはおかまいなしに、
その冷えた唇に自分の唇を重ねた。
「しょ、しょうたろ…」
抗おうとするフィリップの腕を押さえつけてなおも口付ける。
「まったく、こんな風情のないもの着て。」
ファスナーをつーと下げて胸をあらわにする。
指で突起を転がす。
フィリップの手をとり、自分の水着を触らせる。
「ちょっと、何。」
翔太郎の高まりは水着の上からも明らかだった。
頬を赤らめるフィリップ。
翔太郎の思惑が透けて見えてきた。

なおも突起を攻め、硬くなったそれを口に含む。
手はフィリップ自身をもてあそんでいた。
フィリップも高まってきた。
ニヤリとしてやったり顔の翔太郎。
ウェットスーツに手をかけ、それを全てはぎ取る。
翔太郎は止まらなくなっていた。
下にも手をかけて、すべらせるように脱がす。
「翔太郎。日焼けしちゃうよ。」
さえぎるものがない砂浜。
容赦ない陽射しがフィリップに降り注いでいた。
翔太郎は日焼け止めクリームを取り出し、
ゆっくりと、丁寧に塗り始めた。
首、胸、腕。
腰、そして下腹部。
そんなとこは必要ないと思うんだけど…。
フィリップはぼんやり思った。
腿、膝、足。

「うつぶせになれよ。」
言われるがままにうつぶせになり、背中から腰にかけても塗られ続けた。
ふくらはぎ、足の指の間までまんべんなく塗った後、
翔太郎は一点をことのほか集中的に塗りだした。
「翔太郎…。」
一本、二本と指をそこへ滑らせていく。
そしてその手をとめ、身体を密着させてきた。
翔太郎の高まりははちきれんばかりになっていた。
翔太郎もいつのまにか水着を脱いでいた。
耳元で柔らかく囁く。
「フィリップ…。いいだろ。」
もとより否定の言葉を選ぶ権利はフィリップにはなかった。
腰を上げさせると、そのまま翔太郎はフィリップの身体に潜り込ませた。
翔太郎はフィリップ自身にも手を添えて、一緒に登りつめようとした。
そして激しく腰を動かし、暑い日差しよりも熱い翔太郎をフィリップの中にほとばしらせた。

軽く汗ばんだフィリップの身体は、あれほど丁寧に塗っていたクリームがところどころ落ちてしまっていた。
日焼け止めは全く意味をなしていなかった。
赤くヒリついた肌に、翔太郎に毒づく。
「もう!翔太郎!どうしてくれるんだい?もう二度と君と海には行かないよ!」
ちょっとやりすぎたかなと、反省の翔太郎だった。

(20110518)

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