追憶のRiverside moon
□殺し屋リサ
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【002 殺し屋リサ】
もう何分走り続けてるだろう。
大粒の雨が夜の街を濡らす。
街の裏路地を右へ左へと追っ手を振り払うように全速力で駆けぬける少女。
少女の後ろを黒スーツの男達が2人、拳銃を片手に追いかけてきている。
外灯は気まぐれにしかなく、頼りになるのはビルの窓から漏れる明かりと店のネオンの光だけだった。
パンッ
パンッ
パンッ
後ろから放たれる弾。
この道を曲がってまっすぐ行けば駅前通りに出る。
そろそろ体力の限界が近付いてきているようだ。
足も重く感じる。
マンションの隣に出た少女は、駐車場に半ドアを注意するライトが光っている赤い車を発見した。
少女は迷わずその車に素早く乗込みドアを閉めて息を潜めながら後部座席に移動した。
後部座席の足場に横になり奴らがこの場所から去るのを待つ。
…くそ、見失った!…
…俺はこっちに行く。お前は駅の方へ行け…
外から奴等の声が聞こえてくる。
先程撃たれた弾が1発、命中しわき腹の中に埋まっている。
静かな車内とは対象に体内はドクドクとうるさく脈打つ。
そして汗と混じってじわっと冷たな汗が出てきているのもわかった。
意識が遠くなっていく…
私は…
もう…
少女はこの後の自分を悟り静かに目を閉じ意識をなくした。
そして、うるさく脈打つ心臓は…
やがて止まった。