追憶のRiverside moon
□対面する2人
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【006 対面する2人】
7月12日。
梅雨時のハッキリしない天気は今日も続くようだ。ただ梅雨は今週には終わるらしく、今日もどんよりと雲が空を覆うだけで雨は時々しか降らないらしい。
朝、目を覚ました瀬月は昨日の夕方同様首だけを動かして周りを見る。
時計は7時を指している。
南の窓が開けられているし、点滴のセットも無くなっているから寝ている間に誰かがこの部屋へ入ってきたのは明らかだ。
傷を気遣い、ゆっくりと上半身を起こす瀬月。
体に多少のダルさは残るものの、昨日ほどではなく立ち上がることはできた。
部屋の外から人の気配がする。相手が誰なのか見当もつかないが、まずは命を救ってくれた事にお礼を言わねばならない。
部屋を出て直線の突き当たりにガラス張りのドアが見える。
きっとその奥がリビングだろう、中から陽気な鼻歌が聞こえてくる。
いくら命の恩人だとはいえ、いくら陽気な鼻歌が聴こえてくるとはいえ、見ず知らずの自分の命を救ったんだ、相手がいったい何を考えているのかわからない。
相手の思考がわからない以上注意は必要だ。
瀬月は細心の注意をはらってそのドアノブに手をかける。