追憶のRiverside moon
□瀬月の能力
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【003 瀬月の能力】
5月29日。
瀬月は、いつものように昼休みを学校の屋上で過ごしていた。
誰にも邪魔されない自分1人の時間が楽だった。
「なぁ、あなたが転入生の梶川さん?」
転入初日から数日間は物珍しさにいろんな人間が話しかけてきたが面倒くさかったから全員を無視した。
だからか最近は誰も話しかけてこなくなった。
そんな中、声をかけてきたのが今まで学校を休んでいた不良少女の黒町冴子だった。
瀬月はクラスの人間の顔を覚えていないから冴子が今まで休んでいた事も知らない。
当然、無視を決める。
「ウチ、黒町冴子や。ビックリやて、久しぶりに学校来たら転入生がおるって言うんやもん。」
まだ冴子は無視されている事に気づいていないようだ。
わかりやすく無視をしようと思った瞬間だった。